汚れたお水がキレイになるまでどのような処理が行われているかご存知でしょうか?
人間やあらゆる動物も飲み水がなければ生きていけません。料理にも使用すれば、お掃除にも使用します。
トイレで排泄した後に排水処理を行う際も大量に水を使用しています。このように、日常生活に必須の水ですが、
ご家庭や公共施設、工場などで使用して排出された汚水は、キレイになるまで果たしてどのくらいの時間を要するでしょうか。
今回は、汚れたお水がキレイになるまでについてご紹介いたします。
■水はどこからやってくるの?
先ず、海の水が蒸発して、雲になって、雨になります。
雨の一部は、川に流れたり、地面に染み込み、地下水となったりして、海に戻ります。
また、地下からくみあげられた水は、水道管を通って、家庭用水や工業用水として送られていきます。
そしてご家庭や工場などから排出された汚水は下水道を通り、下水処理場にいきつきます。
下水処理場できれいになった水は、川や海に戻り、自然に戻った水は、蒸発してまた雨になり、といった風に、水は自然を介して循環しているというわけです。

■汚水はどこへ行くの?
下水処理場へ運ばれます。
ご家庭や公共施設、工場などで排出された汚水は建物内の排水管を通って、公共下水道へ流れていき、
最後に下水処理場へたどり着きます。
下水処理場は、水をきれいにする工場みたいなところです。
微生物に汚れを食べてもらい、水をきれいにしてもらうという方法を利用しています。
そしてきれいになった水を海や川や湖に流すという作業をしています。
汚水をそのまま海や川や湖に流せば、不快な臭いを放ち、菌が繁殖し、
水辺や海洋に生息する生き物が生存できなくなってしまいます。
衛生的な水源が失われてしまえば人間も生きる事ができません。

■汚水がキレイになる為にかかる時間とは?
下水処理場では「約12時間」(半日)の時間をかけて、魚が住めるくらいまできれいにされています。
■水をキレイにする方法とは?
水をキレイにする方法に「活性汚泥法」※があります。
昭和に入って間もなく日本にもたらされた方法です。
※活性汚泥とは、人為的・工学的に培養・育成された好気性微生物群を含んだ「生きた」浮遊性有機汚泥の総称であり、
排水・汚水の浄化手段として下水処理場、し尿処理場、浄化槽ほかで広く利用されている。
活性汚泥のほかに浮遊物などを含んだ廃棄物は、汚泥として総称される。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
活性汚泥法とはつまり、微生物に汚れを食べてもらう方法というわけです。微生物は、川や水路、土の中など、いろいろなところに住んでいる生き物です。
浄化センターに入って来た下水を処理する過程で、下水中の汚れ(有機物)をエサとして微生物が増え、活性汚泥が出来上がります。
- 空気と廃水を接触させて空気中の酸素を充分に供給すると、好気性微生物(酸素に基づく代謝機構を備えた生物)の分解処理を促進させる事ができます。
- 微生物に汚濁物質を分解させ、汚濁物質濃度と液体に対しての酸素供給量を適切に管理することで凝集する細菌を増殖させて沈降分離することができます。
ここでキレイになった水は水質検査が行われ、川や海に流せると判断された後に塩素消毒が行われ、川や海などに流されます。
活性汚泥法は比較的低コストで放流レベルの水にすることが可能なので、生活雑排水や工場排水などの汚水をキレイにする為に多く利用されている方法です。
糞尿を高濃度で含む畜産排水の場合、活性汚泥法のみで放流レベルの水にするのはかなり難しいので、他の方法と組み合わせて利用されています。
最終沈殿池で、沈めた微生物のかたまりは、反応タンクに戻して使ったり、引き抜いて水分を絞り、リサイクル材料としてコンクリートの材料や畑の肥料として使っています。
「微生物」と耳にすると、理科で習ったミジンコ等を思い浮かべるかもしれませんが、ミジンコは1mm程のサイズです。
実際に活性汚泥で活躍する微生物はミクロの世界の生物で、ワムシ、ツリガネムシ等が主に挙げられます。
他にも様々な種類が存在していますが、流入してくる下水の汚れ具合や質、温度などにより、存在する種類や数に違いが生じるといわれています。
しかし、下水をきれいにするために働く微生物を弱らせてしまう成分も存在します。
それは「薬品類」です。微生物が弱体化すれば汚れを食べてもらえなくなってしまいます。そんな薬品の中に、塩素系漂白剤が挙げられます。
排水管のお掃除の際にもカビやヌメリを一掃してくれそうですが、せっかくキレイにしているつもりでいても、排管を傷めたり、
環境にやさしくない成分を選んでしまってはもったいないので、塩素系ではない洗剤選びをおすすめします。