メールで
問い合わせ
水回りのトラブルに緊急サポート
今すぐお電話
24時間365日緊急対応

排水と通気の関係性

排水管があれば必ず設けられるもの、それは通気管です。

主役の排水管とは違って忘れられがちですが、排水の際、水の流れを滞りなくスムーズにする為の名脇役が通気管です。

今回は、排水と通気の関係性や重要性についてご紹介します。

 

 

排水と通気の関係

排水の際には空気の通り道が必要です。

空気の通り道を作るために必要な管を通気管と言います。

排水と通気は密接した関係にあることから、一体の設備として扱われます。

排水されると、建物の上に設置されている通気口から空気を取り込み、そして排水管の中の空気が押し出されます。

または、空気が押し出された分、同量の空気が引っ張られるのであとからあとから水も引っ張られていくというわけです。

 

 

通気弁とは

通気弁は排水管に取り付ける、空気を取り込むことのできる「弁」構造をしたものです。

通気管内に弁部(ゴム+可動盤)の重量以上の負圧が生じたとき、弁部が持ち上がり、排水に必要な空気を吸い込みます。

圧力差が無くなると弁は自分の重さで閉じます。

通気弁の仕組みを表すイラスト

 

 

通気管の重要性

2つ管があるとして、排水された際に内部の水分量を2つ同じに保とうとする作用が働く事をサイフォン現象といいます。

排水は重力による自然流下で、汚水等を高い位置から低い位置へ流します。

空気も気圧の高いところから低い所に流れていくので、同じ気圧になろうとする原則を持っており、排気を続けてしまうと圧力差が生じてしまいます。

本来、トラップには臭気や害虫侵入避けの為に溜った水(封水)があるのですが、この圧力差で封水分の水も引っ張られて一緒に流れてしまいます。

この封水をも押し流してしまう事を防ぐ為、通気管を設ける(空気の通り道を作る)ことで排水管内の圧力変動を低減させます。

排水時に「ゴボゴボ」と音がしたり、下水臭が上がってきてしまう場合も、排水時に取り込む空気量の不足が原因の一つかもしれません。

 

 

通気配管の方式

通気配管にはいくつか方式があります。

新築でも改修でも、よく採用されているのは「伸長通気方式」と「ループ通気方式」です。

 

 

*伸長通気方式

通気立管を設けずに、排水立管の頂上を延長した伸頂通気管のみで通気を行う方式です。

延長した排水管は屋上部などから大気に開口、または大気への開口部に繋がる通気横主管に接続します。

伸頂通気管のみのため、通気立管を設ける方式に比べて排水の許容流量は少なくなります。

そのため、主に戸建住宅や設置される衛生器具の少ない低層の建物に採用されます。

伸長通気方式

 

 

*ループ通気方式

排水横枝管の最上流の衛生器具の下流直後から通気管を立ち上げ、通気立管、または伸頂通気管に接続する方式です。

各個通気方式とループ通気方式は排水管と通気管がそれぞれ必要になるため、パイプスペースが取りやすいオフィスビルなどで多く採用されます。

ループ通気方式

 

 

*各個通気方式

衛生器具ごとに通気管を設け、それらを排水横枝管に接続し、その末端を通気立管、または伸頂通気管につなげる方式です。

各個通気方式

 

 

通気管からも水漏れ?

通気管には空気しか流れないので水漏れは発生しないと思われる方もいるかもしれませんが、水がまったく流れないかと聞かれると、そうではありません。

結露や雨が吹き込んだ水などが流れています。

よって、通気管といえども横引き管には少し勾配をつけて、排水管に流れていくようになっています。

そして水が流れるところには必ず漏水の可能性があるわけで、必ず点検や工事の後にはテストを行って排水管と通気管の両方に不具合や漏れがないかの確認が重要とされています。

 

満水テスト

配管を水で満たして一定時間置くことで漏水がないかを確認するものです。

これにより施工不良が原因の排水管漏水箇所をほぼ特定することができます。

 

通水テスト

普段水を流さない通気配管にも水が入るので、そちらの漏れも確認できます。

 

先述の、いずれの通気方式にしてもマンション立管の最上部から大気へ排出する必要があります。

その際、通気口を開放したままにしておくと、木の葉やごみ、雪、虫、鳥の糞等が侵入してしまいます。

そういった事を防ぐために通気立管の蓋の役割を持つのがベントキャップです。


露出型ベントキャップ・塩ビ製
露出型ベントキャップ・塩ビ製
出展:モノタロウ


 

水の流れをスムーズにする為に空気も必要という事がわかりました。

醤油さしのフタにも空気穴があるのを見た事があるかもしれませんが、この空気穴を指でふさいだ状態で醤油を垂らそうとしても勢いよく出てきません。

この種明かしはこうです。

液体が出ていくと変わりに空気が入ってきて調節します。しかし空気穴がふさがれていると空気が入ろうとしても入れません。

空気と液体が押し合いへし合い、出入り口で混雑状態になるのでなかなか醤油も出てこないというわけです。

空気の押し出す圧力が無くなるため、液体がとどまるのです。

よって、空気穴を設けて空気取り込み口を作ってあげると空気の流れと液体の流れがスムーズに行われ、よく流れていくというわけです。

また、水を注いだコップにストローをさして、ストローの吸い口を指の腹でふさいだまま水から取り出すとストローの中の水はこぼれませんが、

ふさいでいた指をはなし、空気を取り込むと同時に水がこぼれるのも同様の原理です。(実験結果はストローの太さにもよります。)

 

「排水管」だけが汚水を排出する為の設備というわけではなく、実は「通気管」も大事な役割をしてくれていたという事がおわかりいただけましたでしょうか。

原因不明の水廻り不良発生時や、なんとなく水の流れが悪く感じはじめた時は、ご使用の建物を管理している会社や大家さんに先ずはご連絡をしてみてください。

建物に付随する給排水設備の劣化具合等は目に見えない部分なのでプロによる点検やメンテナンスを定期的に行ってもらうと安心ですね。

 

このコーナーでは様々な水廻りお役立ち情報をお届けしております。

他の記事も是非お読みいただければと思います!!