水道の蛇口をしめた時に、一瞬『ガンッ』『ゴンッ』という音がした事はありませんか?
実はこの現象には『ウォーターハンマー』という名前がついているんです。
あまり気に留めていない方も多いと思いますがウォーターハンマーを放置しておくと思わぬトラブルにつながる恐れもあります。
今回はウォーターハンマーとは一体どの様なものなのか、またその対処法についてもご紹介していきます。
ウォーターハンマーとは
ウォーターハンマーとはバルブを急速に開閉する事により配管の中を流れる水のスピードが急激に変化して大きな衝撃が発生する事です。
わかりやすく言うと電車が急停車して立っている人が次々に前方へ倒れかかる様な状態です。
ウォーターハンマーが起こるのは一瞬ですが、その音からもわかる様に衝撃はかなり強力です。
1度であればさほど問題はありませんが、同じ場所で何度も発生していると最悪の場合配管が破損して水漏れを引き起こす可能性があります。
また、給湯器でウォーターハンマーが発生した場合は配管だけでなく、給湯器に搭載されているセンサーなどにも影響する可能性もありますので
こうしたトラブルを避ける為にもきちんとした対処を行う事が大切です。
では一体なぜウォーターハンマーが発生するのでしょうか?ここからは原因や対処法を詳しくご紹介していきます。
ウォーターハンマーが発生する原因
ウォーターハンマーが発生する原因には『圧力上昇』と『水栓分離』という2つが考えられます。
①圧力上昇
レバー式の水栓の場合は一瞬で水が止まる為、圧力の変化が大きくなりその際に衝撃音が発生する事があります。
これは圧力上昇により起こるウォーターハンマーで、流れていた水の運動エネルギーが行き場をなくし、
配管内部に圧力がかかることで衝撃音が発生するという仕組みです。一方ひねるタイプの蛇口の場合は、
勢いよくひねらなければ水の流れを止めるまでに少し時間がかかる為、変動は少なくウォーターハンマーは発生しづらいと言えます。
圧力変動によってウォーターハンマーが発生するのは、水栓などを急に閉じた場合だけではありません。
急激に開いた場合にも、静止していた水に勢いよく水が流れ込む事によって圧力が上昇し、衝撃音が発生します。
蛇口や配管等の急激な開閉がウォーターハンマーの原因になります。
②水柱分離
水柱分離によるウォーターハンマーはポンプを急停止した際に水の流れが急に止まる事で止水栓の先で圧力が下がる箇所が発生し、
その後圧力が回復すると勢いよく流れ込む水同士が激しくぶつかり合って衝撃音が発生する事です。
水道管の圧力が不安定だと、1箇所で起こったウォーターハンマー現象が原因で、連続して複数箇所から衝撃音が発生する事があります。
この音は水道管を伝って瞬間的に遠方まで届き、隣家に迷惑をかける事もありますので早めの対処が必要になります。
ウォーターハンマーの原因とは
今までは水を止めた時の音が気にならなかったのに、突然ウォーターハンマーによる衝撃音が発生する様になる事もあります。
原因としては下記の3点が考えられます。
- 配管の更新工事を行って水の流量が増加した
- もともと設置してあった水撃防止器が劣化した
- 近隣の住居数が増えて給水水圧が増加した
上記の通りウォーターハンマーが発生する原因は使い方や施工だけでなく、周辺の環境や機器の不具合などが関係している場合もあります。
ウォーターハンマーの対処法
ウォーターハンマーについてわかった所でここからは対処法についてご紹介していきます。
蛇口をゆっくりと開閉する
シングルレバー式の蛇口は簡単に開閉できる為、つい勢いよく開閉してしまいがちですが、
ご紹介してきた様に勢いよく開閉する事により水道管の圧力変動が起こり、ウォーターハンマーを起こす原因となりますので
ゆっくりと開閉する事を意識してみてください。
蛇口をゆっくり開閉すると圧力変動が緩やかになり、ウォーターハンマーの予防につながります。
水道管の元栓を少し絞る
ウォーターハンマーと思われる衝撃音が聞こえたら、元栓を少し絞るのも効果的です。
こうする事によって水道管の中を流れる水流が穏やかになり圧力が下がって症状が改善することもあります。
また、蛇口をゆっくり開閉する必要もなくなります。
しかし、流れる水の量が大幅に減ってしまうとシャワーの水圧が弱くなったり、
給湯器が点火しにくくなる等の問題が起こる場合がありますので、調節しながら絞る必要があります。
水撃防止装置(ウォーターハンマー低減器)を設置する
蛇口をゆっくり開閉したり、水道管の元栓を絞っても効果がない場合には『水撃防止装置』を設置する必要があります。
水撃防止装置は、ウォーターハンマー現象に対する最も効果的な対処法です。
水撃防止器を取り付ける事により水の勢いを吸収して音の発生を抑える事が出来ます。
発生場所や水栓の種類によって設置する物が異なりますので不明な場合は専門の業者へ相談する事をおすすめいたします。
発生場所別のウォーターハンマー予防方法
ウォーターハンマーは、発生場所ごとに予防策が異なりますのでここからはそれぞれの予防法を詳しくご紹介していきます。
トイレ
トイレで起こるウォーターハンマーは、止水栓に水撃防止装置を設置する事により予防出来ます。
止水栓に水撃防止装置を取り付ける方法は2つあり、ひとつは、現在使用している止水栓の調整部分に
水撃防止装置を取り付ける方法です。もうひとつは、分岐水栓を取り付け、分岐部分に水撃防止装置を取り付ける方法です。
止水栓によりどちらかの方法で設置をする事になるので、不明な場合は専門の業者に依頼して確認してみてください。
洗濯機
洗濯機のウォーターハンマーは、蛇口に水撃防止装置を取り付けます。
洗濯機は本体で水の制御を行う為、蛇口に水撃防止装置を設置することで予防する事が出来ます。
洗濯機の使用時にウォーターハンマーが発生すると洗濯機の故障と勘違いして買い替えてしまう方もいますが、
ウォーターハンマーの対策をしていないと新しい洗濯機に取り替えても同様の現象が起こってしまいます。
洗濯機は、蛇口のハンドルを水撃防止装置に取り替える方法と、分岐水栓を設置して水撃防止装置を取り付ける方法があります。
蛇口の種類により方法が異なりますのでこちらも不明な場合は専門の業者へ確認する事をおすすめします。
いかがでしたでしょうか?今回はウォーターハンマーの原因や対処法についてご紹介してきました。
実際に現象が起きた事があっても名前やトラブルに繋がる恐れがある事をご存知でない方も多かったのではないでしょうか?
上記でご紹介してきた通りそのまま放置していると思わぬトラブルが発生してしまう可能性もありますので事前に予防する事や使用の際に日頃から気を付ける事が大切です。
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