マイホーム購入にあたり、新築の他に、リノベーションされた好立地な中古マンションも人気が高まっています。
しかし生活に欠かせない配管部分は目に見えて新旧を確認する事ができません。
もちろん、配管も経年とともに劣化します。
リノベーションされた中古マンションを購入後、配管の不具合等で苦労される方も多数で、
『購入前に見えない箇所も確認しておけばよかった。』等という声も時折耳にします。
マンションリフォームを行う際、配管まで交換する場合もありますが、表層リノベーションの中には、見た目は新築同様でも
配管等は古いままの物件も少なくありません。なかなか目に見えない配管についても、事前にしっかりと知っておきたいところですね。
今回は配管の種類や寿命、配管メンテの重要性などについてご紹介します。
給水管の種類と期待耐用年数
水道用亜鉛メッキ鋼管(SGP) |
20年 |
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水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管(VLP) |
30年 |
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一般配管用ステンレス鋼管(SUS) |
30年 |
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耐震性水道用ポリエチレン管(PE) |
40年 |
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水道用硬質塩化ビニル管(VP) 耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管(HIVP) |
40年 |
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水道用架橋ポリエチレン管(XPEP) ポリブテン管(PBP) |
40年 |
水道用亜鉛メッキ鋼管
出展:モノタロウ
水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管
出展:JFEスチール株式会社
一般配管用ステンレス鋼管
出展:モノタロウ
耐震性水道用ポリエチレン管
出展:SEKISUIエスロンタイムズ
水道用硬質塩化ビニル管
出展:SEKISUIエスロンタイムズ
耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管
出展:モノタロウ
水道用亜鉛めっき鋼管は配管内面が激しく劣化・腐食すると赤水や漏水などが発生して問題になりました。俗に白ガス管などと称されています。
1997年のJIS改正により、現在ではガス管や消火栓に使用されてはいるものの、上水道配管に使用する事ができなくなりました。
硬質塩化ビニルライニング鋼管(VLP)は、現在最も多く使用されています。
VLP-VAは一次防錆塗装により赤茶色をしています。
VLP-VBは外側に亜鉛めっきがほどこされているため、見た目は白ガス管と同じですが刻印や内面にライニングがあります。
VLP-VDは外側にも塩化ビニルライニングが施されており、ライニングの分、外径が太くなります。
この管材により配管内面の腐食問題を解消されましたが、管と管をつなぐときに使用する材料にいくつか欠点がある為、共用部では、
より耐久性の高い一般配管用ステンレス鋼管を露出配管用として採用するマンションが増えました。
耐震性水道用ポリエチレン管は曲がりやすさなどが利点で、耐震性を有するのでこの管も共用で多く採用されており、埋設用配管としても多く利用されています。
そして専有部では、さびない樹脂製の管が広く普及しています。
水道用硬質塩化ビニル管(VP)は低温時に割れやすいという弱点があります。耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管(HIVP)は、そういった弱点を克服し、用途を広げた管です。
曲げや圧縮の強度は同等ですが、引張の強さにおいてはVP管がやや強く、衝撃の強さにおいては耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管(HIVP)の方が3~5倍の強度があります。
排水管の種類と期待耐用年数
配管用炭素鋼鋼管(SGP) |
20年 |
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排水用硬質塩化ビニル管(VP) |
40年 |
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排水用硬質塩化ビニルライニング鋼管(DVLP) |
40年 |
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耐火二層管(FDP) |
40年 |
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排水用鋳鉄管(CIP) |
40年 |
配管用炭素鋼鋼管
出展:モノタロウ
排水用硬質塩化ビニル管
出展:JFEスチール株式会社
排水用硬質塩化ビニルライニング鋼管
出展:SEKISUIエスロンタイムズ
配管用炭素鋼鋼管は雑排水管(台所・浴室・洗面・洗濯からの排水)や通気管を中心に昔から多く利用されてきました。
鋼管の内外面ともに亜鉛メッキが施されているだけなので、全面的な腐食が生じてしまいます。
ドレネージ継手による「ねじ接合」の場合の接合部分は、ねじ切り加工により元々半分程度の肉厚しかないので、腐食減肉による漏水が生じやすくなります。
硬質塩化ビニル管は、広範囲の耐薬品性に優れており、酸性土壌による腐食がありません。
汚水の中の酸・アルカリにも影響を受けず、硫化せず、耐食性に優れています。
排水用硬質塩化ビニルライニング鋼管は塩ビ管の内管に鋼管の外管をとりつけ、鋼管の耐熱性と塩ビ管の耐食性を兼ね備えたものとなります。
耐火二層管は、排水の酸やアルカリに強く、侵されにくい耐薬品性を持ちます。
繊維モルタルで加工された外管は、吸水性や吸湿性があり、金属管と比べ軽量のため施工が容易で、金属管・塩ビ管のような防露施工が不要です。
また、水流音の遮音性や耐食・耐震などの特長を持つ優れた配管構造となっており、各地の様々な建築物に広く採用されています。
排水用鋳鉄管は耐食性に優れていますが、鉃管のため錆は発生します。
他の鋼管よりは腐食の進行は遅いとされており、管の期待耐用年数は40年とされています。
配管の管理が安心な物件とは
新築や築浅のマンションだからといって、安心かといえば、直接的にそうとは言い切れません。
大事なのは新しいかどうかよりも、配管の管理やメンテナンスがどう行われているかという部分です。
今は良くても、今後配管の状態が悪くなった際に交換を渋るマンションもあります。
一方で、一見古びたマンションでもしっかり定期的に配管のメンテナンスを行っている建物は結果的に漏水事故や詰りが起きにくいものです。
結局のところ、各マンションの管理やメンテナンスによるという事です。
配管の管理が重要視されている建物を見分けるポイント
・点検口がある
物件を購入する際に、点検口があるかどうかをチェックしてみてください。
点検口があれば、何かトラブルがあった際に素早く適切な処置が可能です。
点検口があるという事は、少なくとも後のメンテナンスをきちんと行う意識があるととらえる事ができます。
・修繕履歴の記録と今後の修繕計画がある
中古物件の場合、建物が完成してからこれまで、配管の修繕が適切に行われた履歴があるでしょうか。
また、新築の場合も中古の場合も、今後数年以内に点検の予定があるかどうかが重要です。
建設されてから25年以上経過しているマンションの場合、給水管に防食型ではない継手が使用されている可能性があります。
その場合、赤水や漏水事故が発生する可能性も高まります。
また、20年以上放置している排水管においても、急に詰りで水廻り環境を使用できなくなってしまうか、
大きな漏水事故が起きてしまうケースに繋がりやすいという事です。
ひどい漏水事故被害の場合は家電も壊れ、水浸しで生活ができない為、修繕の間しばらくホテル住まいを余儀なくされる場合もあり、厄介です。
建物の経年劣化にほぼ原因があっても、万が一過失も加わってしまった場合は過失者に負担が及ばないとは限りません。
保険非加入者の場合、修理代の他に、被害者側の仮住まい費用や破損した物品等を含めた賠償金は高額になりますので注意が必要です。
・定期的な点検や排水管の清掃が行われている
集合住宅の排水管は立管により各階が繋がっている為、一箇所の詰りが連動して多数階に影響を及ぼす可能性も高いのが特徴です。
いくら管を新しく変えても、様々な人が暮らす集合住宅は、使用方法も様々です。
うっかりトイレに水溶性でないものを流してしまったり、洗面台や浴室の排水口からアクセサリー等の固形物を落として放置していたり、
髪の毛を蓄積させてしまい、詰りへ発展させてしまうケースもあります。
また、キッチンのシンクにおいては油をそのまま流してしまう他、大量に洗剤を利用するとキレイになると思われている方がいるようですが、
実は油も洗剤も、粘性のあるものは排水管内でベタつき、汚れやゴミを付着させていきます。
そういったものが蓄積されてコブとなり、詰りを引き起こします。
このような生活習慣からくる配管の汚れや詰りを定期的に一掃できるのが高圧洗浄です。
定期的にそういった清掃が行われている建物の配管は結果的に長持ちします。
いかがでしたでしょうか。
ご使用の建物内配管は定期的に点検や清掃が行われていますか?
ご購入予定のマンションに修繕計画はございますか?
先ずは建物の管理会社等へご連絡して頂く事をおすすめします。
目に見える部分以外にもメンテナンスが行き届いているサステナブルな物件で、くらしを衛生的に保ち、快適にお過ごしください。
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