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プールに塩素を入れるのはどうして?

プールに行くと感じる独特な臭いを皆さんは塩素の臭いだと思っていませんか?

でも実は塩素自体には臭いがありません。

では一体あの臭いの正体は何なのでしょうか?また、プールにはなぜ塩素を入れているのでしょうか?今回はそんなプールに関する疑問についてご紹介していきます!

プールの臭いの正体

プールの独特な臭いは一般的に塩素の臭いとされていますが、実は塩素自体に臭いはなく、塩素がアンモニア性窒素と反応して発生したクロラミンが原因となります。アンモニア性窒素は尿や汗などの人体由来の有機物に含まれており、プールに入れている塩素と混じることであの独特な塩素臭やカルキ臭といわれる臭いを発します。

プールの中で誰かがおしっこをしてしまう事によりこの臭いが発生する事も少なくありません。また、クロラミンは臭いが発生するだけでなく、眼・皮膚・気道などにも刺激を与える危険性があります。
プールを安心して利用するためにもプールに入る前は必ずトイレを済ませ、シャワーで身体に綺麗にしておくことが大切です。

プールに塩素を入れる理由

プールに塩素を入れるのは、感染症の予防・水質管理・微生物の繁殖抑制が目的です。

学校・レジャー施設・ジムなど不特定多数が利用するプールでは、利用者が持ち込む病原菌を殺菌し清潔に保つために、浄化設備で不純物を濾過することと併せて、塩素(次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カルシウム)が投入されています。

プールに塩素を入れないとどうなるの?

プールに塩素を入れないと悪臭や藻が発生し、感染症のリスクが高まります。
特に屋外プールは、塩素を入れないと1週間もしないうちに藻が発生してしまいます。一度藻が発生すると、掃除をしても悪臭や濁りはなかなか取れません。
さらに、不特定多数の人が入るプールでは大腸菌やレジオネラ属菌などの細菌が繁殖しやすくなります。
大腸菌やレジオネラ属菌は、共用施設のプールだけでなく家庭用のプールであっても繁殖する恐れがありますので注意が必要です。

プールで感染しやすい病気

プールで感染しやすい病気の例として、以下のものが挙げられます。

プール熱(咽頭結膜炎)
原因となるウイルスはアデノウイルスで、主な症状は39度前後の発熱やのどの腫れと痛み、リンパ節の腫れなど咽頭炎の症状があります。
はやり目(流行性角結膜炎)
こちらも原因となるウイルスはアデノウイルスで、主な症状は結膜と角膜の炎症です。 結膜だけでなく、角膜にも炎症が及ぶため、角膜表面にも傷が残ることがあり、その部位によっては視力に障害を来すことがあるので早期に治療する事が大切です。
急性出血性結膜炎
原因となるウイルスはエンテロウイルスで結膜や眼瞼の充血、腫脹のほかに白眼の部分に出血がおこります。
こうした感染症は塩素消毒によって予防することができます。適切な塩素の濃度を保つことは、感染症予防の観点でもとても重要と言えます。

プール水の塩素濃度

プールの衛生基準は、厚生労働省の「遊泳用プールの衛生基準」や文部科学省の「学校環境衛生管理マニュアル」にある「水泳プールに係る学校環境衛生基準」によって定められています。 学校のプールでは、塩素濃度の基準値は、0.4mg/L以上かつ1mg/L以下に設定されています。0.4mg/Lよりも少ないと、病原菌やウイルスを60秒以内に不活化させられません。

また、塩素の濃度が高すぎると、肌や髪、目などに刺激が強いため、最高でも1mg/L以下と定められています。水道水の塩素濃度の基準が0.1mg/L以上なので、水道水と比較してもプールの塩度が特別に高いというわけではありません。塩素を適量入れる事により正しく水質管理を行う事で流行性角結膜炎やプール熱などの病気にかかりにくくしています。

プールに入った後の注意点

以前はプールに入った後に水道水での洗眼をしていた方も多いと思いますが、現在はゴーグルの着用が基本です。お風呂でも直接目を洗う人はいないと思いますが、目に直接水を当てることで、水道水の塩素で角膜を傷つける恐れがあります。簡単な洗眼は行っても問題はありませんが、積極的な洗浄は奨励されていませんのでご注意ください。

プールの塩素で髪の毛や肌が傷むってほんと?

プールの塩素で髪の毛が傷んで茶色くなると聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、実際にプールに定期的に長時間入っていると髪の毛が傷むことがあります。

その理由は塩素によるキューティクルの劣化です。

髪のキューティクルは塩素濃度の高い水に長くさらされることで、タンパク質が変質します。その結果、キューティクルが剥がれやすくなり、ツヤや滑らかさが損なわれ、色も抜けやすくなってしまいます。また、塩素を含んだプールの水はタンパク質を傷つける作用もあるので肌荒れの原因にもなります。これは、プールの水だけではなく残留塩素が含まれる水道水にも同じ事が言えます。塩素は肌の角質層にダメージを与えるため乾燥しやすくなります。

対処法としては、プールから上がったあとはシャワーで髪の毛や肌をしっかりとすすぎ、塩素濃度の高い水を洗い流す事が大切です。髪の毛も肌も乾燥しやすくなるのでしっかりと保湿する事が大切です。また、髪の毛はゴム製のスイミングキャップを被り髪の毛を塩素濃度の高い水に長時間触れさせないことが有効です。

家庭用プールにも塩素は必要なの?

基本的に家庭用のプールには塩素をいれる必要ありません。
しかし、友達同士など3人以上が一緒に入る時や、プールの水を数日間使いまわす場合は、塩素濃度を高くしたほうが衛生的で、感染リスクが低くなります。
家庭用のプールに塩素を入れる方法としては、市販の塩素タブや塩素粉末、液体塩素などの使用が一般的です。
この他にも、井戸水などの塩素殺菌されていない水を使用する場合は対策する事をおすすめいたします。

いかがでしたでしょうか?
今回はプールの独特な臭いの原因や塩素を入れる理由などプールに関する疑問についてご紹介してきました。プールで使っている塩素消毒剤は、細菌やウイルスから健康を守るために必要なもので、安全面に考慮した濃度に設定されています。塩素の身体への影響が気になる方もいらっしゃるかもしれませんが、塩素自体は水道水にも含まれているので、そこまで神経質になる必要はありません。
感染症を防ぐためには塩素の力だけでなく、プール後のシャワーや手洗い・うがいなどが大切です。各自で気をつけて、安全にプールを楽しんでくださいね。

 

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